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呼吸器系の癌の初期症状
呼吸器系の癌、特に肺がんは、日本における癌死亡原因の上位を占める重大な病気です。その初期症状は、風邪や気管支炎と間違えられやすいものが多いため、注意深く観察することが早期発見に繋がります。肺がんの最も一般的な初期症状の一つは、「長引く咳」です。風邪が治った後も咳が2週間以上続く、あるいは痰を伴わない乾いた咳が続く場合は注意が必要です。特に、喫煙者や受動喫煙の経験がある方、粉塵やアスベストなど有害物質に暴露される環境にいた方は、より注意深く症状を観察する必要があります。次に、「血痰や喀血」も重要なサインです。痰に血が混じる、あるいは血そのものを吐き出す場合は、肺がんの可能性を疑い、すぐに医療機関を受診すべきです。血痰の量は少量でも、見逃してはならない症状です。また、「胸の痛み」も肺がんの初期症状として現れることがあります。特に、深く息を吸い込んだ時や咳をした時に痛みを感じる場合は、胸膜に癌が及んでいる可能性があります。この痛みは、最初は鈍痛であることが多く、進行すると鋭い痛みに変わることもあります。その他、声のかすれ(嗄声)が続く、息苦しさ(呼吸困難)、ゼーゼーという喘鳴、肩や背中の痛みなどが現れることもあります。これは、癌が声帯を支配する神経を圧迫したり、気管支を狭めたり、周囲の骨に影響を与えたりしている可能性を示唆します。これらの症状は、必ずしも肺がん特有のものではなく、気管支炎、喘息、肺炎などの良性の病気でも起こりえます。しかし、症状が改善しない場合や、悪化していく場合は、自己判断せずに必ず呼吸器専門医の診察を受けることが重要です。特に、喫煙歴がある方や、家族に肺がんの既往歴がある方は、症状がなくても定期的な肺がん検診(低線量CT検査など)を受けることを検討しましょう。早期発見・早期治療が、肺がんの予後を大きく左右します。