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放射線や紫外線と癌のリスク
私たちの身の回りには、目に見えない放射線や紫外線といった物理的な因子が存在し、これらが癌の発症リスクを高める原因となることがあります。これらのエネルギーが細胞に当たると、DNAに損傷を与え、遺伝子に変異を引き起こす可能性があるためです。まず、放射線についてですが、高線量の放射線被曝は、白血病や甲状腺がん、肺がんなど、多くのがんのリスクを上昇させることが知られています。これは、医療現場でのX線検査やCT検査といった医療被曝だけでなく、原子力発電所の事故などによる環境中の放射線も含まれます。ただし、医療被曝によるがんリスクは、診断や治療の利益と比較して十分に低いとされており、必要不可欠な検査であれば恐れる必要はありません。しかし、不必要な被曝は避けるべきであり、特に妊娠中の女性や子供は、より感受性が高いため注意が必要です。また、自然界にも常に微量の放射線が存在しており、これを自然放射線と呼びます。私たちが普段浴びている放射線の大部分は自然放射線によるものですが、通常レベルであれば健康への影響は小さいとされています。次に、紫外線(UV)は、皮膚がんの最大の原因として広く認識されています。特に、波長の短いUVBは、皮膚細胞のDNAに直接損傷を与え、細胞の変異を促します。長時間の太陽光暴露や、若い頃の日焼けの繰り返しは、皮膚がん(基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫など)の発症リスクを著しく高めます。悪性黒色腫は、皮膚がんの中でも特に悪性度が高く、転移しやすいタイプです。紫外線による皮膚がんのリスクは、肌の色が白い人や、遺伝的にメラニン色素の生成が少ない人でより高くなります。紫外線対策としては、日中の強い日差しを避ける、日陰を利用する、長袖や帽子、サングラスを着用する、日焼け止めクリームを適切に使用するなどが挙げられます。特に、紫外線は曇りの日や冬場でも降り注いでいるため、一年を通して対策を講じることが重要です。放射線や紫外線といった物理的な因子から体を守ることは、癌予防のために私たちができる重要な行動の一つです。