リンパ節は、全身に張り巡らされたリンパ管の途中に存在する免疫器官であり、体内に侵入した細菌やウイルス、あるいは体内で発生した異常な細胞(癌細胞など)を捕らえ、免疫反応を起こす役割を担っています。そのため、リンパ節が腫れることは、体が何らかの異常を抱えていることを示す重要なサインとなり得ます。リンパ節の腫れは、首、脇の下、鼠径部などに触れて確認できます。通常、感染症(風邪や扁桃炎など)によってリンパ節が腫れることはよくありますが、これは炎症が治まれば自然に縮小します。しかし、リンパ節の腫れが「痛みを伴わない」「硬い」「動かない」「徐々に大きくなる」「数週間以上続く」といった特徴を持つ場合は、癌が転移している可能性や、リンパ腫などの血液がんの可能性を疑う必要があります。特に、全身に複数のリンパ節の腫れが見られる場合や、特定のがんの診断を受けている方が新たなリンパ節の腫れに気づいた場合は、速やかに医療機関を受診すべきです。また、リンパ節の腫れだけでなく、同時に現れる全身症状も、癌の重要な警告サインとなることがあります。最も代表的な全身症状は「原因不明の体重減少」です。ダイエットをしていないのに、短期間で体重が急激に減少する場合は、体内で何らかの異常が起きている可能性が高く、癌の可能性も否定できません。次に、「全身倦怠感」や「疲労感」が挙げられます。十分な休息を取っても、倦怠感が改善しない、あるいは慢性的に続く場合は、注意が必要です。また、「発熱」が繰り返されることも、癌のサインとなることがあります。感染症ではないのに、原因不明の発熱が続く場合は、体のどこかに癌が潜んでいる可能性があります。特に、夜間に寝汗をかくほどの寝汗(盗汗)を伴う場合は、リンパ腫などの血液がんの症状として現れることがあります。これらの全身症状は、リンパ節の腫れと組み合わさることで、癌の可能性をより強く示唆する警告サインとなります。これらの症状が一つでも、あるいは複数見られた場合は、自己判断せずに、ためらわずに医療機関を受診し、精密検査を受けることが、癌の早期発見・早期治療に繋がる最も大切な行動です。
リンパ節の腫れと全身症状の警告