消化器系の癌は、食道、胃、大腸、肝臓、膵臓など、食物の消化吸収に関わる様々な臓器に発生します。これらの癌の初期症状は、消化器の不調と密接に関連しており、日々の体の変化に注意を払うことが早期発見に繋がります。まず、食道がんの場合、初期にはほとんど自覚症状がないことが多いですが、進行すると食べ物がつかえるような感覚、飲み込みにくさ(嚥下困難)、胸の違和感や軽い痛みなどが現れることがあります。特に熱いものや刺激の強いものを食べたときに症状が顕著になることがあります。胃がんの初期症状も、多くは特異的なものではありません。みぞおちの不快感、軽い痛み、食欲不振、胸焼け、吐き気などが挙げられます。これらの症状は胃炎や胃潰瘍と似ているため、自己判断で市販薬を服用して済ませてしまうと、発見が遅れる可能性があります。症状が長引く場合は、胃カメラ検査などの精密検査が必要です。大腸がんの初期症状としては、便潜血(便に血が混じる)、便が細くなる、便秘と下痢を繰り返す、残便感、腹部の不快感などが挙げられます。血便は痔と勘違いされやすいため注意が必要ですが、便の表面に鮮血が付着するだけでなく、黒っぽい便が出たり、便全体に血が混じっていたりする場合は、大腸がんの可能性を疑い、早めに受診しましょう。肝がんは、初期には症状が出にくい「沈黙の臓器」として知られています。進行すると、倦怠感、食欲不振、腹部の膨満感、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、右の脇腹の痛みなどが現れることがあります。特にB型・C型肝炎ウイルスキャリアの方は、定期的な画像検査が非常に重要です。膵臓がんは、最も発見が難しい癌の一つです。初期にはほとんど症状がなく、進行すると腹痛や背部痛、黄疸、体重減少、糖尿病の急激な悪化などが現れることがあります。これらの消化器系の初期症状は、他の良性の病気でも起こりうるため、症状が続く場合や悪化する場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、専門医の診察を受けることが早期発見・早期治療への第一歩となります。